「全粒穀物」が糖尿病リスクを低下 血糖が上昇しにくい
全粒穀物(ホールグレイン)とは、精白などの処理で、糠となる果皮、種皮、胚、胚乳表層部といった部位を除去していない穀物のこと。 食事で全粒穀物を多く摂ると、精白した穀物の多い食事よりも、2型糖尿病や心臓血管疾患のリスクを低く抑えられることが、多くの研究で示されています。 全粒穀物が体に良いことが知られるようになり、全粒穀物を使ったパンやパスタ、オートミール、玄米、全粒コーンミールなどは店頭で買いやすくなってきました。 精白の過程で失われる部分にミネラル、ビタミンB群、マグネシウム、鉄分などが豊富に含まれています。 主食を精白度の低い胚芽米や麦飯、全粒粉のパンなどにすると、食物繊維も多く摂取できます。
全粒穀物を食べている人では2型糖尿病の発症が少ないという研究を、スウェーデンのチャルマース工科大学やデンマークがん学会研究センターなどが発表しました。 この研究は、全粒穀物、フスマ、胚芽といった食品の摂取と、2型糖尿病の発症の関連を調べたもの。 穀物は、小麦、米、ライ麦、オーツ麦、トウモロコシ、オオムギ、キビ、モロコシといった種類があります。 研究チームは、デンマークの食事・がん・健康コホートに参加した50~65歳の男女5万5,465人のデータを解析。
その結果、全粒穀物を毎日50g(1日に3皿分)以上摂っていたグループでは、ほとんど摂らないグループに比べて、2型糖尿病の発症リスクは、男性で34%、女性で22%それぞれ低下しました。 全粒穀物を使っていれば、ライ麦ブレッド、パスタ、オートミール、シリアルなど、どんな食品であっても、2型糖尿病のリスクを低下させる効果を期待できるということです。「今回の研究は、全粒穀物を推奨する食事ガイドラインを裏付ける結果になりました。精白された穀物を、精白されていない全粒穀物に代えることをお勧めします」と、チャーマーズ工科大学のリカード ランドベリ教授は言います。