メニュー

カロリー制限が寿命を延ばす可能性 酸化ストレスを低減

[2018.04.09]

特に、カロリー制限を続けると身体の中心部の深部体温が下がり、血糖値やインスリン値が低下し、代謝を調節するホルモンの値も有意に低下したということです。研究の詳細は「Cell Metabolism」3月22日オンライン版に掲載されました。
 研究を主導した米ペニントン生物医学研究所のLeanne Redman氏によると、深部体温や血糖値、インスリン値などが低いことは長生きと関連することが知られているといいます。基礎研究レベルでは、カロリー制限と寿命の延長を関連づける研究結果が得られており、研究をレビューした米ウィスコンシン大学医学部公衆衛生学部のRozalyn Anderson氏も自身のサルを用いた研究結果と一致することから、「この研究は動物とヒトの間のギャップを埋める初めての臨床研究だ」と述べています。
 Redman氏らは今回、平均年齢40歳で肥満のない若い健康な成人53人を、カロリー制限を行う群(34人)とカロリー制限を行わない対照群(19人)にランダムに割り付けて2年間追跡しました。参加者には、健康的にカロリー摂取量を25%減らす3つの方法を伝えて自分の好きな方法を選んでもらいました。
 その結果、カロリー制限群では15%のカロリー摂取制限が達成されており、Redman氏は「これは素晴らしい結果だ」とコメントしています。また、対照群では体重が平均で1.8kg増えたのに対し、カロリー制限群では平均で8.7kg減少し、そのほとんどが最初の1年間のうちに減量していたことが分かりました。さらに、カロリー制限をすると、動物やヒトでの研究で長寿に関連すると考えられている代謝や生体プロセスにも変化がみられ、代謝が悪くなる原因ともなる酸化ストレスも有意に低減することが明らかになりました。

Redman氏らによると、この結果は代謝の良さと酸化ストレスの増大が老化を加速させるという説を支持するものであり、「私たちの身体がエネルギーを産生する際には代謝の副産物として活性酸素が産生される。この活性酸素が体内に蓄積すると細胞や組織にダメージをもたらし、老化が進むだけでなく、がんなどの発症にもつながると考えられている」と説明しています。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME