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【新型コロナウイルス感染症】世界糖尿病連合などが糖尿病患者向けのアドバイスを公開

[2020.03.17]
新型コロナウイルスと糖尿病

 新型コロナウイルスの感染が世界中で広がっており、国際的な公衆衛生上の緊急事態となっています。糖尿病のある人が血糖コントロールが不良の状態が続くと、ウイルス感染に対して脆弱である可能性があるので、とくに注意が必要となります。これまでの報告によると、この新型ウイルスに感染した症例の80%以上は軽症で、すでに治癒した人も多く、感染した人の98%は生存しています。無症状のケースも少なくないようです。しかし、20%で呼吸困難が生じる重症や呼吸不全にいたった例が報告されています。重症化しやすいのは、高齢者に含め、糖尿病、心不全、呼吸器疾患がある人や、透析を受けている人、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている人です。 世界糖尿病連合(IDF)は、「糖尿病患者がウイルス感染症を発症すると、血糖変動が起こりやすいので、とくに注意が必要です。とくに糖尿病合併症がある人では、治療が困難になる可能性があります」と強調しています。その理由として、糖尿病のある人では、(1)血糖コントロールが良くないと、白血球や免疫に関わる細胞の機能が低下し、体がウイルスと戦うの難しくなる可能性がある、(2)合併症のある人は、血流障害が起きていることが多く、感染が重症化するおそれがある、(3)血糖値が高い状態ではウイルスが増えやすいことを挙げています。症状が起こる場合は、インフルエンザの典型的な症状に似ていて、発熱、咳、呼吸困難、疲労感、筋肉痛などです。WHOによると、感染した場合の潜伏期間は3〜7日で、症状があらわるまでに最大で14日かかることもあります。

糖尿病患者とその家族はどうすれば良い?

 この新型ウイルスに効く抗ウイルス薬や予防用のワクチンの開発は世界中で急ピッチで進められているが、実用化までに時間がかかります。IDFは糖尿病患者とその家族に向けて、「できるだけウイルスを避けるために予防策を講じることが必要です。糖尿病のある人にとって、広く一般に公開されている感染症対策や健康管理はとりわけ重要になります」とアドバイスしています。

・ 石鹸による手洗いや手指消毒用のアルコールによる消毒を行う
 頻繁に触れるものをきれいにして消毒する。食物、コップやグラス、タオル、道具などを共有しない。

・ 咳エチケットを行う
 咳やくしゃみをするときに、ティッシュがない場合は、手で口や鼻をティッシュで覆うか、袖、肘の内でおさえる。使用済のティッシュは処分する。

・ 混雑した場所を避ける
 咳などの呼吸器疾患の症状を示す人との接触を避ける。対面で人と人との距離が近い接触はおよそ2m。集会や会合、公共交通機関などは感染リスクが高い。また、自分の体調に気を配り、インフルエンザのような症状がある場合は外出を避ける。

シックディの対処の仕方を知っておく

 高熱が出て食事をできなくなると、血糖降下薬の調整が必要になることがある。こうした状態は「シックディ」と呼ばれます。新型ウイルスに限らず、風やインフルエンザなどの感染症にかかった場合、血糖コントロールにとくに注意する必要があります。自分の体の状態について気を配っておくことが大切です。高熱、咳、痰、呼吸困難などのインフルエンザのような症状が出ている場合は、主治医に連絡し、医療サポートを受ける必要があります。事前に医療スタッフと話し、シックディの対処の仕方を知っておくことも必要です。必要な糖尿病治療薬が十分に手元にあるかを確認し、十分な量の食事と水分の補給を行う。1人暮らしの高齢者の場合は、病気になった場合に支援が必要になる可能性があるので、サポートを受けられる連絡先を知っておく。 新型コロナウイルスは新しい感染症であり、状況は完全には明らかになっていません。「政府や地域の糖尿病協会などの信頼できる情報源から、最新情報を常に入手しておくことも必要だ」と、IDFでは述べています。

COVID-19 and diabetes(世界糖尿病連合 2020年3月5日)
Coronavirus (COVID-19) - advice for people living with diabetes(英国糖尿病学会 2020年3月10日)

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