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1日に摂取する食品種類が多いと死亡リスクが低下 日本は食の多様性で世界2位

[2019.05.24]
多様な種類の食品を摂取している女性で死亡リスクが低下

 1日に多様な種類の食品を摂取している女性は、全死亡、循環器疾患による死亡、その他の死亡リスクが低下する傾向があることが、約8万人の日本人を対象とした大規模な調査で明らかになりました。また、日本人は大豆製品を多く摂取しますが、女性では大豆製品も摂取する種類が多いほど全死亡リスクの低下がみられました。「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。 日本を含む多くの国で、食事ガイドラインで「多様な食品を組み合わせて、食事をバランスよく摂取する」ことが推奨されています。一方で、食品摂取の多様性と死亡リスクとの関連に関しては不明の点も多いです。

大豆製品の種類が多いほど全死亡リスクが低下

 そこで、国立がん研究センターなどの研究グループは日本人を対象に、食品摂取の多様性と死亡リスクとの関連を調べました。1990年と1993年に岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎、大阪の10保健所管内に在住していた40~69歳の男女約8万人を、2012年まで平均14.9年間、追跡して調査しました。研究グループは、1日に摂取する食品数によって対象者を5つのグループに分類し、14.9年の追跡期間中に発生した死亡(全死亡、がん死亡、循環器疾患死亡、その他の死亡)との関連を調べました。 対象者に研究開始から5年後に食事調査を実施。アルコールを除いた133項目の食品・飲料について、対象者が1日に何種類摂取しているのか算出し、その後の死亡リスクとの関連を調べました。その結果、女性では1日に摂取する食品の種類がもっとも多いグループでは、もっとも少ないグループに比べ、全死亡のリスクは19%、循環器疾患死亡のリスクは34%、その他の死亡のリスクは24%、それぞれ低下しました。魚、肉、野菜、果物、大豆製品などの個別の食品群についても調査。女性では大豆製品も摂取する種類が多いほど全死亡リスクの低下がみられました。

男性は肉類の種類が多いと全死亡のリスクが上昇

 一方、男性では食品摂取の多様性と死亡との関連はみられませんでした。男性は女性に比べてアルコールの摂取頻度や喫煙率が高いため、これらの要因を統計学的に調整しても、その影響が上回り関連がみえにくくなった可能性が考えられるといいます。男性では、摂取する肉類の種類が多いほど全死亡のリスクが上昇する傾向がみられました。摂取する肉類の種類が多い人では動物性のタンパク質摂取が多くなり、このことが死亡リスクの上昇につながった可能性があります。

食品の種類が多いと健康寿命が延びる 日本は世界2位
 

 名古屋学芸大学健康・栄養研究所所長の下方浩史教授らによる、世界137ヵ国を対象とした研究でも、摂取する食品の種類が多いほど、日常生活を支障なく過ごせる「健康寿命」や「平均寿命」が延びることが示されています。研究は、名古屋学芸大学と同志社大学の研究グループが共同で行ったもの。 研究グループは、国連の食物供給量のデータなどから、人口100万人以上の世界137ヵ国の食品の多様性をスコア化して計算。健康寿命は、健康でない生存年数などから推定した健康度調整平均寿命を用いて、1995~2010年の状況を解析しました。その結果、2010年度のデータで比較すると、食品の多様性が高い国ほど健康寿命も平均寿命も長くなっていました。国民1人当たりのGDP、高齢化率、医療費、食物エネルギー供給量、教育歴を調整して比較しても、この傾向は変わらなかったそうです。食品の多様性スコアは、1位 ニュージーランド、2位 日本、3位 スペイン。日本は2010年度に、食品の種類の多さは世界137ヵ国中2位で、健康寿命はもっとも長かったとのことです。

 

 

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