日本の「緑茶」に糖尿病や肥満の予防・改善効果か 世界中から注目
1日に緑茶を6杯以上飲む人は2型糖尿病の発症率が大幅に低下することが、文部科学省科学研究費による大規模コホート研究「JACC研究」で明らかになっています。この研究は、日本人の生活習慣ががんなどとどう関連しているかを明らかにするために実施されています。 研究では、ベースライン時に糖尿病、心疾患、がんの既往歴のない40〜65歳の1万7,413人を対象に、緑茶など摂取状況と、糖尿病の診断有無に関して質問票の形式で調査したもの。その結果、緑茶を1日6杯以上飲む人では、ほとんど飲まない人(週1杯以下)と比べ、糖尿病の発症率が33%少なかったことが明らかになリました。緑茶に含まれるカフェインが基礎代謝の促進、筋肉における脂肪燃焼、グリコーゲンの異化、末梢組織からの遊離脂肪酸の放出を促しており、またEGCGなどのカテキンの抗酸化作用により、インスリン抵抗性の改善を期待できるということです。
さらに、緑茶が腸内の善玉菌を増やし、肥満のリスクを下げるという研究を、オハイオ州立大学が発表しました。それまで緑茶が腸内の炎症を防ぐことは分かっていましたが、どのような作用で肥満防止につながるかは不明でした。研究グループはマウスを緑茶を与える群とそうでない群に分け、両方に高脂肪食を摂取8週間させました。その結果、緑茶を摂取したマウスは、そうでないマウスに比べ、体重が20%少なく、インスリン抵抗性も抑えられました。さらに緑茶を摂取したマウスは、脂肪組織や腸内の炎症が少なく、腸内の悪玉菌が減っていました。「緑茶が腸内細菌叢を健康にする効果は、人間にもあてはまると考えられます。ただし、緑茶のサプリメントでは効果は確認されていません。緑茶は1日を通じて食事で少しずつ摂取するのが良いでしょう」と、オハイオ州立大学人間栄養学部のリチャード ブルーノ教授は言います。ブルーノ教授らは現在、メタボリックシンドロームや2型糖尿病の人を対象に、緑茶の効果を調べる試験の準備を進めています。緑茶を飲む習慣はがん予防につながるという研究も発表されています。緑茶に含まれるEGCGが、健康な細胞を保護しながら、がん細胞を死滅させるサイクルを引き起こすことが、ペンシルベニア州立大学による研究で明らかになっています。